キャバクラをはじめとする水商売では、遅刻や欠勤などをしてしまった場合に罰金を支払わなければならないお店が実は多いです。
罰金制度を設けている理由としては、責任感を持って働いてもらうためという理由があります。
そのため多くのお店では、働く前に店長や責任者の方から説明をしてくれます。
しかし、実は水商売における罰金は法律違反に該当するケースもあります。
ですので、お店側の説明を鵜呑みにしてしまうのは危険だったりします。
管理人
そこで今回は、
- 水商売のよくある罰金の種類
- 罰金を支払わなくても良いケース
- 罰金が法律違反にならないケース
- 罰金関係のトラブルを回避するためのポイント
を法律なども合わせて、分かりやすくご紹介していきたいと思います。
よくある罰金の種類とは?
まずは、水商売の中で特に設けられている事が多い罰金を3種類ご紹介していきたいと思います。
その3つとは、
- 遅刻・無断欠勤に対する罰金
- ノルマ未達成による罰金
- 風紀違反による罰金
になります。
ちなみに、罰金の金額などはお店によって設定金額が異なるのでここでは割愛します。
今回は、なぜ上記の3つの罰金制度が設けられているかの理由も合わせてご紹介しているので、疑問に思っている方は参考にされてみてください。
1.遅刻・無断欠勤
まず、多くのお店で設けられているのが遅刻・欠勤による罰金です。
主に、
- 遅刻罰金
- 当日欠勤罰金
- 無断欠勤罰金
が多いです。
なぜ遅刻・欠勤の罰金が多くのお店で設けられているのかと言うと、多くのキャバ嬢達は出勤する曜日が決まっています。
そして、お店側は
店長
このように、お酒を仕入れたり女の子達用のドリンクの材料を用意したります。
しかし、女の子が遅刻や欠勤をしてしまうと、本来であれば出勤するはずだった女の子の分が無駄になってしまいます。
管理人
水商売は、職業柄どうしてもお酒を飲む機会が多いです。
そのため、翌日に二日酔いや体調不良を起こしやすく遅刻や欠勤をしてしまう女の子は少なくありません。
しかし、体調不良の理由や事情をしっかり話せば理解してもらえるお店も多いです。
ですので、遅刻や欠勤をしてしまいそうな時はキチンと自分で連絡をしましょう。
前日シャンパンをお客様から頂いて売上をガッツリ上げたものの、翌日が二日酔いで非常に体調が悪い時などは、前日の頑張りをお店側も理解してくれているので、キチンと連絡さえ入れておけば遅刻したりしても罰金が取られないケースもあります。
その他にも、やむを得ない事情での遅刻や理由あっての遅刻であれば、罰金を取られない場合も多いです。
しかし、遅刻や欠勤は他の女の子やお店のスタッフさん、お客様にも迷惑が掛かる行為です。
管理人
そして、一番やってはいけないのが無断欠勤です。
管理人
2.ノルマ未達成に対する罰金
ノルマ未達成による罰金は、主に
- 目標としていた売上を上げることが出来なかった
- 目標としていた同伴数が少なかった
- 指名で来店してくれたお客様の数が目標より少なかった
などの場合に発生してしまう罰金です。
しかし、このノルマ未達成による罰金を設けているお店は、現在だいぶ減ってきています。
管理人
それでも、まだまだ根強く残っているお店も多いので、心配なら面接の時に質問すればお店側は答えてくれます。
管理人
しかし、高級クラブやセット料金の高い高級キャバクラなどは、普通のキャバクラと違いしっかりとノルマを設けているお店が多いです。
管理人
「従業員」と「個人事業主」に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しているので興味のある方は参考にされてみてください。
【キャバ嬢はなぜ個人事業主?】その理由と店舗経営の裏事情を暴露!
3.風紀違反による罰金
風紀違反による罰金は、主にスタッフ同士のトラブルが発生した際に課されてしまう罰金です。
管理人
と言うのも、キャバクラをはじめとする水商売は異性を相手にするお仕事です。
なのに、そのホステスやキャバ嬢がお店の従業員と付き合っていたら、お客様からの信用は失われてしまいます。
更には、お店の評判も落としかねないのでボーイさんとホステスさんの恋愛は、水商売の世界ではタブーとされています。
しかし、人間である以上恋愛をしてしまうことは仕方ないことではあります。
ですので、もし恋愛に発展してしまった場合は、どちらかがお店を移籍するなどの方法を取った方が良いと思います。
管理人
詳しく知りたい方は、以下のサイトにアクセスして頂くと裁判の判決内容も合わせて見ることが出来ますので、興味のある方は閲覧してみてください。
参考
キャバクラの風紀違反の罰金は違法無効の裁判例!風俗業界に強い顧問弁護士
罰金制度は法律違反?その理由を徹底解説
上でも少し触れていますが、実はキャバクラなどで設けられている罰金は、場合によっては法律違反になるケースがあります。
どの法律違反になるのかと言うと、
- 労働基準法第16条
- 労働基準法第91条
の2つが関わってきます。
管理人
ですので、ここではなぜ法律違反になってしまうのかについて、上記の2つの法律を絡めながらご紹介していきたいと思います。
労働基準法第16条に違反してしまう場合
まず、労働基準法第16条には以下のように表記されています。
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
参照:労働基準法
つまり、労働基準法第16条に書いてあることを分かりやすく言い換えると、
管理人
って思いませんか?
しかし、実は場合によっては法律違反にはならないケースもあるんです。
確かに労働基準法第16条では、確かに違約金や罰金制度を盛り込んだ労働契約をしてはいけないと法律で決まっています。
ところが、キャバ嬢などの水商売で働く女性は、労働者ではなく個人事業主扱いになっている場合が非常に多いんです。
具体的な違いとしては、
- 労働者:お店や企業と労働契約を結んで雇ってもらう。社会保険などの福利厚生を受けることが出来る
- 個人事業主:お店などと業務契約を結んで働く。福利厚生などはない。自分で確定申告などをしなければならない
管理人
この時点で、薄々勘づいている子もいると思いますが、労働基準法第16条では
使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない。
参照:労働基準法
と表記されていますが、そもそもがキャバ嬢やホステスさん達は労働契約ではなく業務契約を結んでいる場合が非常に多いんです。
管理人
しかし、業務契約と言っても実際は労働契約と変わらない働き方をしている女の子がほとんどだと思います。
業務契約と労働契約の働き方の違いは、水商売で例えると
- 労働契約:決まった曜日や決まった時間で働くスタイル(例:シフト制)
- 業務契約:自分の指名のお客様が来店される時のみに出勤して働くスタイル
と言った違いがあります。
と思ってしまった女の子もいると思います。
しかし、お店側は業務契約として女の子を働かせていたとしても、実際は労働契約と同じ働き方をしていれば労働基準法第16条には該当する場合もあります。
管理人
例えば、週4日決まった曜日・決まった時間に働いていることが証明できれば、労働契約と同等の扱いであることが認められて罰金制度が法律違反になる場合があります。
こればかりは、お店側の言い分・どのような働き方をしているかによって法律違反になるかどうかが変わってきます。
管理人
労働基準法第91条に違反してしまう場合
一方の労働基準法第91条は、罰金の金額に関する法律について表記されています。
就業規則で、労働者に対しての減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
参照:労働基準法
と、文章を読むのに慣れていないと少し読みにくい書き方になっています。
ですので、まずはこの労働基準法第91条に書かれてあるいくつかの単語の意味を知っておくと理解しやすいと思います。
- 就業規則:お店のルールが書かれている書類。
- 減給の制裁:遅刻・欠勤などをした際の罰金。
- 平均賃金:過去3ヵ月分の給料の合計から÷3をした金額。
- 一賃金支払期:給料から罰金としてお金が引かれる月。
管理人
ここからは、労働基準法第91条を元により分かりやすく具体的な数字を例に計算してみます。
例えば、
- 1月:20万円
- 2月:25万円
- 3月:20万円
が、それぞれの月の給料だったとします。
平均賃金は、1月~3月までの給料の合計から÷3をした金額になります。
ですので、(20万円+25万円+20万円)÷3=20万円となり、3ヵ月の平均給料は20万円になります。
更に、20万円を出勤日数で割ります。(今回は週4勤務で1ヶ月の勤務日数は16日とします。)
20万円÷16=12,500円となり、1月~3月の3か月間の平均賃金は12,500円になります。
労働基準法第91条では、1回の罰金の金額が平均賃金の1日分の半額を超えてはいけません。
管理人
その半額ということは、12,500円÷2=6,250円となり1回の罰金の金額は6,250円を超えてはいけないと言うことになります。
管理人
そして次が、罰金の総額についてです。
就業規則で、労働者に対しての減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
参照:労働基準法
と記載されています。
管理人
例えば、1ヶ月の間に4回罰金になってしまうような行為をしてしまった場合、上の例を元に計算すると6,250円(1回の罰金額の上限)×4回=25,000円となります。
しかし、労働基準法第91条で「総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない」と書かれています。
「賃金の総額の10分の1」とは、今回の例で例えると20万円(平均賃金)×0.1(10分の1)=20,000円となります。
管理人
このように、罰金を設けるにしても支払うにしても、法律を理解しておかなければお店側も女の子側も自分の首を絞めることになります。
管理人
管理人
罰金トラブルに巻き込まれないためには?
上で説明している通り、水商売における罰金は法律が関係してくる部分でもあるので非常にややこしいです。
ですので、罰金のトラブルに巻き込まれたくなければ罰金になるような行為をしないように気を付けるしか方法はありません。
管理人
もし罰金関連でトラブルになった場合、公的機関に調査を依頼したり、払い過ぎた罰金の返金を求めることは出来ます。
ただし、女の子側で
- 確定申告をきちんとしているか
- 必要書類が全部揃っているか
などの準備などが必要になってきますし、弁護士さんを雇うとなれば罰金の金額よりもお金が掛かってしまう場合もあります。
と言うように、水商売で働いている人の多くは確定申告すらしていないケースが非常に多いです。
確定申告と言われると、
- 今もらっている給料から更に税金として引かれてしまう
- 親の扶養から外されてしまう
- 水商売の副業をしていることがバレてしまう
と考えている方が多いと思いますが、上手に使いこなせればお金が返ってくることもあります。
また、金銭的なトラブルが起きた場合でもスムーズに和解や示談に持ち込むことすら可能です。
ですので、結果的には確定申告をすることで自分を守る・助けることに繋がる場合もあるので、確定申告はしっかりと毎年手続きをすることをおすすめします。
確定申告に関しては、以下の記事で詳しくご紹介しているので興味のある方は参考にされてみてください。
【水商売で働いている方向け】確定申告をするメリット・しないデメリットを徹底解説
【あなたはどれに当てはまる?】確定申告をすべき人としなくても良い人とは?
まとめ
今回は、水商売における罰金の種類・法律違反になるかどうかなどについてご紹介してきました。
罰金制度は法律違反になると言われていますが、水商売で働いている多くの女性は労働者ではなく、個人事業主扱いの場合が非常に多いです。
そのため、そもそも労働基準法そのものが適応されないケースもあります。
ですので、水商売で働く場合自分がどのような契約で働いているかを知っておくことは非常に大切です。
法律関係は、文章がややこしい上に分かりにくいため敬遠しがちですが、知っておくだけでも自分を守るための盾にもなってくれます。
また、今回記事を作成するにあたり参考にしたサイトなどは、以下に掲載しています。
弁護士の方が書かれているサイトなので、より詳しく知りたい方は参考にされてみてください。
- キャバクラ・クラブで働くときの留意点(労働基準法第16条)
- 減給の懲戒処分|限度額と減給が有効になる条件(労働基準法第91条)
その他にも当ブログでは、水商売で働く上で役に立つ法律や知っておいて損はない法律などもご紹介しているので興味のある方は参考にされてみてください。
【お客様も従業員も理解しておくべき!】水商売の風営法を分かりやすく解説!【後日更新】
【水商売で働いている方向け】確定申告をするメリット・しないデメリットを徹底解説
【あなたはどれに当てはまる?】確定申告をすべき人としなくても良い人とは?